この作品は、1920 年代に作成された同名で英国のポピュラー音楽およびエンターテイメント会社
の象徴的なロゴを使用しています。
会社のロゴは、リバープールのアーティスト、フランシス・バローによる、犬(名:ニッパー)が
シリンダー蓄音機に耳を傾けている絵に由来しています。
バンクシーのプリントは、オリジナルのロゴと同じように 19 世紀後半の蓄音機に面して座る犬の
横顔を描いてはいますが、擬人化された犬は蓄音機に向けてバズーカロケットを狙い撃ちしていま
す。
単色の構図は、バンクシーの署名ステンシルスタイルで正式にレンダリングされますが、前景のコ
ントラストの白と黒の背景を排他的に反転させています。
HMV は、バンクシーの故郷ブリストルの通りで最初にタグ付けされました。
元となった逸話から、「主人」と「飼い犬」の関係を「権威」と「民衆」などに置き換えるとバン
クシーらしい反権威的な作品として見ることができます。
また、バンクシーの故郷ブリストルでは黒人音楽やヒップホップがパンクロックと混ざり合い独特
な音楽文化として親しまれており、バンクシーも強く影響を受けています。
ヒップホップ文化に根差したグラフィティアートからの、既存の音楽に対しての反骨心に満ちたメ
ッセージとしても読み取ることができます。