奈良美智は、青森県出身の現代美術家です。愛知県立芸術大学に入学後、ドイツの国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに留学しました。かわいらしい、しかし強くにらみつけるような眼差しを向ける子供など、無垢で無邪気な中に、孤独で悪魔的な部分をもち合わせる独特の人物や動物を描いています。
この作品は一見かわいらしい白い犬の絵ですが、不可解な絵でもあります。
描かれている空間は非常に謎めいており、まるで寓話のようですが、詩的な意味を持つ静かな奥深さを感じることができます。そこからは愛らしさだけでなく、心の奥に訴える暗さや危うさ、またそれに対する希望も汲み取ることができます。
この白い犬の作品は銅版画ですが、作家が直接彩色を施した、貴重なものとなっております。