平山郁夫は広島県に生まれ、東京美術学校で前田青邨に師事した日本画家です。
日本美術院を中心に活動し、東京芸術大学学長などを歴任。また国内外の文化財保護にも注力しました。1996年にレジオン・ドヌール勲章,1998年に文化勲章を受章しています。
平山郁夫が好んで題材としたシルクロード。この作品では穏やかな月明かりに照らされながら、ラクダに乗って歩みを進める人々が描かれています。
シルクロードは東西の交易の主要路であり、文化の行き交う道でもありました。平山はそうした名もない人びとの想いの積み重ねが文明や歴史を形づくると考え、荒れ果てた砂漠や遺跡に人間の痕跡を探し求めてシルクロードに取材した作品を繰り返し制作しました。
砂漠をひたすら往くキャラバンは平山郁夫が憧憬してやまないシルクロードと、国境や民族を越え、さらには時空をも越えた人びとの交流の象徴でもあります。