村上隆は日本の現代美術家で、アニメやマンガの表現と日本の近世の絵画や彫刻表現に見られる平面性を「スーパーフラット」という様式によって統合して表現し、90年代に国際的に評価されました。
笑顔の花は村上隆の代表的なモチーフの一つです。
背景には銀色の箔が用いられ、色とりどりの花でいっぱいに満たされた画面からはとても華やかな印象を受けます。
しかし、機械的に反復される一様に同じ笑顔の花たちの背後からは、何やらうすら寒い気配も感じられます。
かわいらしいモチーフをあえて過剰に引用することで、現代日本の大衆文化の持つ幼児性を顕在化し、伝統美術で用いられる箔と組み合わせることで、日本文化の持つ様々な要素を圧縮し、複層的な意味を持つ画面に構成しています。